第6回研究会
第6回研究会企画
Slow Thinkingで考える情報活用能力の育成
情報活用能力の重要性は,臨時教育審議会(昭和59年〜62年)及び教育課程審議会(昭和60年〜62年)等における検討に端を発し,平成元年,平成10年・11年,平成20年・21年告示学習指導要領での議論を経て,平成29年3月告示の小・中学校学習指導要領及び平成30年3月告示の高等学校学習指導要領において,情報活用能力を,「言語や問題発見・解決能力と同様に,学習の基盤となる資質・能力」と位置づけられました.この期間に,「情報活用能力の育成」という観点から様々な議論や教育実践がなされてきましたが,その育成状況の調査結果を鑑みるに,まだまだ多くの課題が残されているといえます.
一方で,じっくりと時間を考えて“考え抜く“ことを意味するSlow Thinkingという概念があります.Slow Thinkingを習慣化することで,論理的/批判的/創造的思考力の涵養に繋がると考えられます.Slow Thinkingを意識した教育・学習活動を行うことは,学習者の情報活用能力の育成に寄与すると考えられます.
本講演では,2025年度の大学への入学者が習得した高等学校共通教科「情報I」で「何を」「どのように」「どこまで」学習しているのかを「情報活用能力の育成」の視点から確認しつつ,大学での数理・データサイエンス・AI教育との差異を確認しした後,それぞれの学習事項と「Slow Thinking」のあり方について議論します.
ご講演は長年,情報活用能力育成の教育研究について携わってきた西野和典先生(太成学院大学)に,その後,西野先生と香山瑞恵先生(信州大学)の対談形式による「Slow Thinkingと情報活用能力(高校「情報」,大学「データサイエンス」)の育成」について議論します.
聴講されているみなさんからの質問,疑問,コメントを,講演中・対談中にZoom内で受付し,対談の中で議論する予定です.皆様のご参加をお待ちしております.
記念講演 :西野 和典先生
1978年から22年間大阪府立高校教諭
1998年兵庫教育大学大学院修了.修士(学校教育学)
2000年大阪電気通信大学専任講師
2004年九州工業大学助教授を経て,2008年同大学大学院教授
2020年同大学名誉教授.同年太成学院大学教授,現在に至る
2019年教育システム情報学会功労賞受賞.同学会名誉会員
記念対談:西野 和典先生
香山 瑞恵先生
2000年電気通信大学大学院修了.博士(工学)
2002年専修大学専任講師
2003年同大学助教授
2007年信州大学准教授
2014年同大学大学院教授
2024年4月同大学工学部長・学術研究院工学系長・総合工学系研究科長・総合理工学研究科長・総合医理工学研究科長
2024年10月より同大学副学長(産学官・社会連携)